外国人雇用を始めるには?知っておくべきことを解説します

日本では、少子高齢化の影響で労働人口の減少が社会問題になりつつあります。採用活動を行っても人が集まらず、希望の人材に出会えないことも少なくありません。

そのような中、外国人雇用が増えています。厚生労働省によると、産業別外国人労働者数 は、2014年78.8万人から2020年には172.4万人と、6年間で2倍以上になりました。

高い技術を持つ人材が多いこともあり、外国人雇用は採用難の解決策として注目されています。そこでこの記事では、はじめて外国人雇用をする際に知っておくべきことを解説します。

そもそも外国人雇用とは?就労可能な滞在資格とできることを紹介

外国人雇用

「外国人雇用」とは、その名の通り外国籍の労働者を採用し、就労してもらうことです。 日本の企業が外国籍者を雇用するには、外国人の出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められている在留資格の範囲を遵守しなければなりません。外国人の雇用形態と滞在資格に ついて紹介します。

雇用形態と在留資格

日本で働く外国人の雇用形態を大きくわけると以下の通りです。

 ● 正社員/契約社員
 ● パート/アルバイト
 ● 技能実習生

「技能実習生以外、日本人とあまり変わらない」と思われたかもしれません。しかし、外国人の場合在留資格によって就労できる範囲が限られています。
こちらに「専門的・技術的分野」の在留資格を一部をまとめてみました。

在留資格
技術・人文学・国際業務エンジニア、翻訳/通訳、デザイナー、語学学校教師など
介護介護福祉士
技能各種調理師、スポーツインストラクター、各種職人、航空機の操縦者など
企業内転勤企業の日本支社に転勤

※「専門的・技術的分野」の全容を知りたい方は厚生労働省HPをご覧ください。

これらは規定の就労範囲でのみ有効になるため、外国人の在留資格と従事する内容がマッチしない場合雇うことはできません。現地採用して日本に来てもらう際にも、就労内容に即した在留資格の申請が必須です。

一方で、就労範囲がフレキシブルな在留資格もあります。

制限なく働ける在留資格限定的に働ける在留資格
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者
※日本人と同様に働ける
留学・家族滞在
※資格外活動許可が必要
※パート・アルバイトが週28時間まで可能

制限なく働ける在留資格を持っていれば、日本人と同じように就労が可能です。また、留学や家族滞在の場合は、資格外活動許可を得ることでアルバイトができるようになります。

「技能実習生は?」と思われた方がいるかもしれません。次に外国人技能実習制度について解説していきます。

技能実習生とは何が違うの?

特定のスキルを持つ外国人が働ける「在留資格」に対して、「外国人技能実習制度」は根本的に目的が違います。

能実習制度の目的は、開発途上国の人材が日本で技術や知識を学び、帰国後、母国の発展 に活用することです。つまり国際協力になります。実際は日本の労働者不足を補填する側面もありますが、もともと労働力を補うための制度ではありません。

特定のスキルを持つ外国人は最初から就労可能な在留資格を取得できますが、技能実習生は研修目的で門戸が開かれています。これが他の在留資格との大きな違いです。

人手不足が深刻な14分野のための「特定技能」

更に、在留資格「特定技能」が2019年4月から新たに始まりました。この資格は、特に人材 不足が著しい専門業種14分野に絞っています。

「特定技能」の概要はこちらです。

特定技能1号(14分野)特定技能2号
建設/造船・舶用工業/素形材産業/産業機械製造業/電気・電子情報関連産業/宿泊/航空/自動車整備/漁業/農業/飲食料品製造業/外食/介護/ビルクリーニング建設/造船・舶用工業

今後、外国人雇用を促進する受け皿が拡大していくことが見込まれます。

どの国の出身者が多い?外国人雇用のメリットとデメリット

外国人雇用

生労働省の資料によると令和2年(2020年)、外国人労働者の出身国で最も多かったのは ベトナムです。

外国人雇用者の届け出状況 令和2年10月末現在
 ● ベトナム 443,998人
 ● 中国 419,431人
 ● フィリピン 184,750人
情報元:「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和2年10月末現在)

外国人労働者数総数である172.4万人中、なんとベトナム人は4分の1を占めています。そのような外国人雇用のメリットとデメリットを見ていきましょう。

外国人雇用のメリット

外国人雇用をするメリットは、大きくわけて以下の3つです。

1.人手不足の解消が目指せる

外国人労働者は、人手不足の解消に役立ちます。

求人市場は売り手市場で、なかなか希望を満たす人材が見つからないことが多いです。特に就業環境がきつく、汚く、危険と言われる「3K」に当てはまる建設、機械整備、清掃などの職種は、日本の若者が避ける傾向があります。

開発途上国出身の外国人を雇用することで、慢性的な人材不足に取り組む企業が増えています。

2.技術力の高い若手人材を採用しやすい

日本人の場合、待遇や給与面で採用が難しい高スペック人材でも、外国人なら比較的採用しやすいです。

例えばベトナムは、国民の平均年齢が約30歳と若く、勤勉で向上心の高い人が多いです。 実際、技能実習生として来日する外国人のうち、最も多い出身国がベトナムとなっています。ところが、スキルの高い技術者でもベトナム本国では郊外の工場で働くことが多く、給与水準も低い傾向があるため、待遇のよい日本の会社に就職を希望する人が増えています。

3.日本人社員がグローバルな視点を持てる

外国人雇用は、海外展開を目指す企業はもちろん、日本人社員に異文化理解を促す絶好の機会にもなります。

外国語が堪能な社員がいれば出身国企業との取引や、新しいビジネスを構築する際にも役に立つでしょう。また、日本人が外国人従業員との関わりを通して、グローバルな視点を持ち異文化を学ぶきっかけにもなります。

外国人雇用のデメリットとは?

次に、外国人雇用のデメリットを解説していきます。

1.日本語がわからないとコミュニケーションをとりにくい

日本語があまり話せない外国人を雇用すると、職場で意志疎通がうまくいきません。 仕事内容によって、外国人労働者の日本語能力基準は異なります。通訳・翻訳など高い語学力が必要な業務もあれば、工場などの単純労働のように、会話力が足りなくても対応できる場合もあります。

とはいえ、日本人の同僚と円滑にコミュニケーションをとるためには日本語の会話力が必要不可欠です。

2.文化の違いからうまれる認識のズレ

外国人労働者は、異文化圏で生まれ育っているため「当たり前」や「普通」といった職場の常識が通じないことがよくあります。文化や宗教などの違いで価値観や考え方が異なることも多いからです。

日本人との間に認識のズレが起きると人間関係で確執が生まれたり、業務に支障をきたしたりして、問題が起きることもありえます。

そのため、外国人社員に日本の文化や社内規則を教えることはもちろん、受け入れ側も柔軟に対応することが重要です。

3.雇用開始までに時間がかかる場合がある

通常外国人を雇用するには時間がかかることが多いです。

国内在住者の場合、業務に従事可能な在留資格を持つかどうか確認し、雇用に伴う手続きをとらなければなりません。海外から採用する場合も、在留資格の取得までに1~3か月要します。
※但し、トウヨウ貿易の場合は独自の雇用ルートにより通常よりも時間がかからずに雇用することが可能です。

はじめて外国人を雇用する方の中には「手続き方法が分からず難しい」とおっしゃる方が多いです。そのため、外国人採用サポートを行う人材紹介会社を利用することも1つの選択肢になってきます。

外国人の「人材派遣」と「人材紹介」の違い

外国人雇用

外国人雇用を行う時、人材斡旋業者を利用する企業が増えています。その場合「人材派遣」 と「人材紹介」から外国人採用の形態を選ぶことになります。この2つの違いを簡単にまとめました。

 ● 人材派遣:外国人が派遣会社と雇用契約を結ぶ。
  ※派遣先(企業)は、労働対価を派遣会社に支払う。

 ● 人材紹介:人材会社に紹介された外国人と直接雇用契約を結ぶ。
  ※派遣先(企業)は紹介料を支払う。

中には外国人が派遣契約で勤務後、企業(派遣先)に籍を移す場合もあります。
人材派遣か紹介を選ぶかは企業によって変わりますが、雇用方針や受け入れ態勢によって判断されている方が多いです。

まとめ:外国人雇用を取り入れて採用難を乗り切る!

外国人雇用

日本の少子高齢化は今後ますます加速化していきます。内閣府によると、2036年には3人に1人が65歳以上になると予測されているほど。労働人口の減少は社会問題ともいえます。。

人材採用にお悩みの方は外国人雇用を検討してみてはいかがでしょうか。とはいえ、外国人の雇用には滞在ビザや来日後の言語サポートなどの手続きを踏まなければならず、難しく感じる方も少なくありません。

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